7月の逢瀬① Just the Way You Are その2
続き。。。です。
彼が連れて行ってくれた郊外のホテル。
わたしの好きなテイストの、シックで落ち着いたお部屋。
お部屋のバルコニーからは、先ほど訪れた離島が見えた。
その手前には眩しいほどに海がキラキラと輝いてた。
しばらく海を眺めていた私たち。
そして。
彼が、カーテンを閉めて。
そっと、わたしを引き寄せた。
「逢いたかった、ずっと、ずっと、
逢いたかった」と、彼。
わたしは、彼の腰に手を回した。
言葉がまとまらなくて、ただ、彼を抱きしめるだけ。
いつものように。
彼がシャワーを浴びて、わたしを待っててくれた。
「おいで」
彼が、ベッドに招き入れてくれる。
彼の腕に包まれる。
「2回もドタキャンして本当にごめんなさい。
○○(彼)との終わりも考えてた」と、わたし。
「わかってる、何も言わなくていいよ」と、彼。
彼がすっぽりと、わたしを抱きしめた。
重ね合わせた身体から感じる、彼の体温、息使い、鼓動。
彼が、とても愛しい。
わたしは、彼を求めた。
彼は、わたしに応えてくれた。
ベッドサイドの淡い光に映し出された、彼の優しい眼差し。
わたしにだけ向けてくれる、彼の想いを受け取る。
「大変な2か月だったね、しんどかったよね」と、彼。
彼の腕枕の中で。
わたしに語りかけるように、諭すように、話してくれた。
彼は。
わたしの、ほんの小さな心の機微まで感じ取ってくれてた。
感謝の気持ちが溢れる。
張りつめていた緊張がほどけてく。
堪えきれずに。
彼の腕の中で泣きじゃくるわたし。
涙で言葉にならない。
「いいから、何も言わなくていいよ」
彼はわたしの髪を撫でてくれた。
背中をトントンとしてくれた。
まるで、小さな子供を扱うように。
そっと、優しく。
彼はわたしを包み込んでくれた。
夕方になって、私たちはお部屋を出た。
新幹線の駅に向かう。
「息子が帰ってくる」と、彼。
それは、同時に。
奥さまが駅に向かってるということ。
息子さんをピックするため。
駅ビルで夕食をするのは危険。
飲食街の前の通路を、息子さんが通る時間。
私たちが駅ビルで夕飯の時間。
まともにぶつかってしまうかもしれない。
ニアミスは絶対に避けなきゃ。。。
「途中で食事をしよう」と、彼。
駅に着くまでのお店で夕飯を済ませた。
有名人でもなんでもないけど。
私たちの逢瀬は、用心に用心を重ねてる。
絶対に知られてはならない関係。
この関係が9年半を過ぎた今も、警戒を緩めない。
細心の注意を払って、でも、行動は大胆。
彼と遠距離になっても、それは変わらない。
「新幹線の改札に入ってしまえば大丈夫」と、彼。
私たちは足早に、通路を横切った。
息子さんが利用する在来線とは違うフロアから、
新幹線の改札を抜けて、待合室へ。
待合室のシートに座って、彼の肩にもたれる。
彼との逢瀬をしめくくる、とても大切な時間。
今日一日のこと、次の逢瀬の日程を決めること。
お互いの気持ちをすり合わせ、確認する。
「またドタキャンすることになるかもしれない」と、わたし。
「そんなことは絶対ない、俺がらぶに逢いに行く」と、彼。
わたしの乗る新幹線のアナウンスが流れた。
私たちはホームへと向かう。
エスカレーターの途中で、
彼のおしりに触れて、なでなでする(笑)
「おいおい、帰したくなくなるよー」
「らぶはね、部屋を出てからスイッチはいるよね」
彼がおしりをモゾモゾしながら笑う😊
ホームの柱の陰で、彼がわたしをそっとハグする。
今日最後のキスをして。
「愛してる」と耳元で、彼が囁いた。
新幹線に乗ったわたしに届いた、彼からのLINE。
そして。
LINEのあとで彼が送ってくれた、わたしの大好きな曲。
Billy Joel - Just the Way You Are (Live 1977)
「素顔のままで」という邦題の Love song
直訳は「そのままの君で」というニュアンス。
わたしが小学生の時。
人生で初めて聴いた洋楽。
わたしを英語の世界へと導いてくれた。
必死で辞書を引いて、意味をたどったことが懐かしい。
それから、数十年経過した今。
子供心に憧れた歌詞の世界が現実となってる。
「らぶはね、今のままでいいんだよ」
彼の気持ちが惜しみなく注がれている毎日を大切に。
彼に。
包まれてる。
守られてる。
支えられてる。